マヤ・デレンは

全作品という上映プログラムを見た。『午後の編目』はなかなか面白い。シュールに女性の自我が入ってくるところ。ただ映像的には以前のシュルレアリスム映画のほうが、もっと斬新だった。これは1940年代。次の『陸地にて』は這う場面、最後の未完断片『魔女のゆりかご』はまあまあだが、他のダンスを撮ったものは、面白くない。才能というより感受性の豊かな女性という印象だ。米国の前衛サークルでデュシャンやケージなどに可愛がられた女性という感じ。伝記映画で人気が出るのはテルミンみたいだが、カリスマづくりより、作品をどう評価するかが重要。女性前衛映画監督の先駆ではあるのだろうが、ジェンダー的評価はもう不要な時代。僕には高く評価する要素は見出だせない。
ちなみに伝記映画のほうを見た人も、引用される作品に魅力がないと語る。『編目』はカンヌで前衛映画賞を取っているらしいが、再編集したら、という感じ
★写真はちょっとモノクロモードの試し撮りです
志賀信夫