不動まゆう、堀越千秋、黒沢美香

★12月5日
・不動まゆうはヴァニラ画廊時代に出会った。新国立などでも振付けをと聞きようやく舞台を見た。不動を含め女性三人と男性一人によるダンス。以前に芥正彦がやった乃木坂のシアターバー、コレド。左右から舞台を挟んで見る形。赤い紙が薔薇のように散らばり黒い床に映えるなか、不動は鎖に繋がれている。濃い紫と赤のコントラスト、洒落た演出がなかなか魅力的。みなバレエの訓練を受けており、踊りはしっかりしている。ただ台詞が入るのはいま一つ。生ピアノで出す音もいいのだから、もったいない。テーマは嘘『MidLieT』と、一般向けというわかりやすさを求めたのだろうが、ダンス好きには弱くなる。ただ演出のセンスが洒落た感じでいい。ショーにこういうテイストを入れるという方向が合うかもしれない

堀越千秋展、六本木ストライプハウスギャラリーで12月15日まで
堀越千秋は作品も魅力的。焼き物はぬくもりが感じられる作品だが、絵がやはりいい。スペインのパッショネイトな色のみならず、黒の抽象にも世界がある。特に奥にある作品『すべて嘘』にはやられた。嘘が続いたのも奇妙な符号だ、
・黒沢美香『膝の火』あごら劇場。十六人による舞台。黒一点の後藤茂が下手奥でアバンセーヌから何か動いている。女性たちは一人、二人づつ登場し舞台をぞろぞろ反時計回りに回る。これが導入から全体の基調となり、それぞれの動きが続いていく。女性たちはベージュの下着っぽい衣裳に一部緑のパンツがアクセント。ダンス的ではない動作の繰り返し。ポストモダンともミニマルともいえる動きが続いていく。これが重層的に重なっていく。ダンス的でない動きをダンス的な構造で組み合わせることで、ダンスとして成立させる黒沢美香の試みは面白い
★写真は堀越千秋展。福岡の歌手・ピアニストの深水郁による展示。流れる深水のアルバム『いがいがピアノ』の音も注目
志賀信夫