マウスト、飴屋法水、大森政秀

★11月22日
モレキュラーシアター『マウスト』カンバス、2009.11.22
小さい空間を三方から観客が取り巻き、たくさんのマイクが観客に向けられている。録音された言葉が小さく流れ、白い四角い床照明の上でそれを復唱する座った出演者と、立ってじわじわ動き踊る出演者。フェイドイン・アウトで、彼らが入れ替わる。踊りは緊張した身体をさらにしぼり、驚き叫ぶような表情を作り出す。語られる言葉は瀧口修造の戦時中の転向・戦争協力に関するもの。モレキュラーシアター主宰の豊島重之の社会意識が伺われる。興味深い舞台である
★11月23日
飴屋法水『サイコシス4:48』あうるすぽっと、2009.11.23
いずれゆっくり記すが、逆さ吊り、ホーミー、血の池、自殺。舞台としてインパクトは抜群だ。全体が一つのモノローグとして観客に迫る
◆大森政秀ソロ、テルプシコール、美学校企画、2009.11.23
先般の大野一雄フェスティバル2009で野外で踊った大森政秀。今回は美学校の企画。ホリゾントの赤い線、吊り下げられた針金が後に生きる。よれた帽子にシャツパンツ、くすんだベージュの中年男、さまよい探るように踊り、隅から鉄線だしてきて、浴びるように絡み付き、壁に掛けると抽象オブジェ。後半は黒いドレスに長髪、白塗りを際立たせ、踊るは月光。この叙情がすばらしい
★写真は、サイコシスの会場ロビーのインスタレーション。これを見ずに会場に入った僕はラッキーだった。予想しないですんだからね
志賀信夫