宇田川心中は必見の芝居、H3

★11月8日
小林恭二作、金守珍演出の『宇田川心中』は傑作。劇団1980と新宿梁山泊の合同公演は新劇系とアングラの要素が混じり合い、小林恭二の複雑な芝居を明解かつアングラの匂いを漂わす見事な舞台とした
物語は渋谷道玄坂と神泉、宇田川町。心中物の小屋掛芝居、歌舞伎の河竹黙阿弥と江戸の悲恋を背景に愛と因果、運命のもつれがさらに混沌を呼び込む多層的な物語を産む。愛は妄執なのか。平たくいえば単なる思い込みか。しかしゆえに人は惑い翻弄される。1980柴田義之と唐組鳥山好克の怪優対決、水場、濡場、金守珍や田村泰二郎の怪演、田村の舞踏姿など見所満載だが、最後しっかり感動させられる芝居だ。ダブルキャストなので、もう一つも見たいと久しぶりに思える芝居である。青山墓地横のテントをぜひ見つけるべし
0333857188
なおこの日はたまたま小林恭二と観客で来ていた女優石田えりの誕生日。テント内での打ち上げでは、金の計らいで二人をシャンパンで祝い愉しい宴となった

★昼は西巣鴨でグルーポ・ヂ・フーア『H3』。ブラジルのヒップホップがコンテンポラリーダンスになった
最初は無音でからむ男たち。それから今風のパーカッシブノイズからの展開は、特に後ろ走りの魅力がポイント。動きは日本ほどかっちりしていないから、逆に生のパワー、エネルギーが伝わってくる。抽象化する照明から最後はパン、ベタの照明でストリート系のパワーがベタに伝わるのも正解だ
★写真は合同公演を象徴する劇団1980と新宿梁山泊の旗とテント入口
志賀信夫