篠井世津子

★9月11日
多忙で今日が9.11であることを忘れていた。ロンドンのテレビで一週間前にいた街が崩れていくのを食い入るように見ていた8年前。あれから世界は変わったのか。いや世界が声を上げてアメリカにノーというようになった。オバマはだから誕生した。日本の政権交代オバマなくしてはないだろう。
・さて、中野テルプシコールの篠井世津子のソロ。アジアの仏像のように蝋燭の前に座してしばらく低い姿勢から次第に上に延びて踊る姿は儀式的でオリジナル。そして立ち上がり、足を上げ手を実に多彩に使う。この手の表現は圧倒的、一度として同じではないように見える。音楽はアジアの経にも聞こえる声のリフレイン。その中で中腰で踊る姿は音のリフレインとともに熱を持ち始める。クライマックスのないボレロのような音は次第に静かな感動をよぶ。暗転後、篠井はアジアの仏像のように立ち続けた。ジャズダンスで一世を風靡した篠井がいま、たった一人で向き合い続けて辿り着いた、踊りとは何か、の答えがここにある
志賀信夫