万城目組?

★9月7日
神楽坂ディプラッツで万城目純らのグループ公演、示光社。
赤い椅子に派手な礼装で座り周囲に女性をはべらした冒頭の姿はフォトジェニックに決まっている。万城目純は眼鏡を外すと森村泰昌や役者の篠井英介に似て、美輪明弘、ピーターに連なる同性愛的顔立ちといえるだろう。女たちは自由にゆらゆら踊るが、高野チカコが一人弾けている。やがて新聞で顔を包んだ男が床、リノリウムをめくると誰かの顔のコピーが。また、壁のアルコーブでは大きい抽象画が移動、映像が映し出されるなど、盛り沢山。暗転すると、皆、黒い衣裳で踊るが一人チカコは上半身裸、黒い髪を垂らす
休憩が入り第二部は新城尚之と潤湖が幽霊話を語り、二人のデュオ、入江淳子が自転車で登場、猫の話。それから白シャツにジーンズでみな、勝手に踊り、シリアルを撒き散らすなど暴れるのだが、リズムの強い音楽が緊張をつけ、なかなかかっこいい。その中で一人スーツ姿で堅く動いていた加藤道行が、突然、バンっと倒れると、「ケネディが死んだ」の声で終幕
・かなり多様な場面を作り出し楽しめた。ダンサーも色とりどり。ただ集団のインプロ部分が多いとどうしても散漫になりがち。前半は高野チカコがアクセントをつけていたが、できれば数ヶ所ユニゾンの群舞を入れると、締まり、コントラストが出ただろう。後半、ラストは物足りない。なぜかというと、カタストロフィのための背景がないからだ。また、全体として「絵柄」はよくできているのだが、ダンサーの身体が感じにくい舞台であった気がする。この不思議な構成は、万城目純と新城尚之二人がそれぞれ振り付けて合わせたのか、整理とメリハリによって、なかなか面白い舞台になりそうだ。
志賀信夫