ダンストゥデイ、五輝會

★9月13日
彩の国さいたま芸術劇場で3作品、トリプルビルの公演。
・最初は大植真太郎の振り付けで、大植、平原慎太郎、柳下雅寛のトリオ。格闘のようなコンタクトインプロ。コンビニなどのビニール袋が舞うラストもエコに美しい。単純にダンスが楽しめる
中村恩恵の振付作品は広田あつ子とのデュオ。舞台づくりは面白いが、動きに光るもの、身体が迫るものがない。
・金森穣の振付作品は妻、井関佐和子とのデュオ。井関の子供時代の写真、金森の映像が流れ、結婚式の余興のような設定。しかしデュオで絡む動きは非常に魅力的。
★9月14日
国立劇場に若手、いや中堅?の日舞の雄が集合。五輝會は、派を超えた画期的な集団といえる。
・山村若の「葵の上」は素踊りで、前半の静かな動きが魅力的だった。狂乱する部分は少し弱いか
・「浜松風」は西川箕之助の此兵衛はアクのあるキャラを出していた。藤間蘭黄の小藤は、かなり美しいが、女性の魅力、色気が出たとは言い難い。
・「一人の乱」で花柳基は素晴らしい。切れのある動き、大胆かつ確信をもった表情と声、いずれも圧倒的。対する花柳寿楽も屈折した役をしっかり演じて、ラストも見事に決まった。
・「七福神船出勝鬨」は新作で、五人で七福神を演じる。ユニゾンの踊りがまず楽しいが、間のソロもそれぞれのキャラクター、踊りの違いをはっきりと見せた。レビューっぽい感じは宝塚の振付家ゆえだが、見せ所を巧みにつくる。無理に実験的で難解な新作をやるより、まず観客を楽しませるという意図がいい。
志賀信夫