柴田恵美

★8月19日、ディプラッツ
体一つで踊る。いうのは簡単だが、それがひきつける舞台にするのは、困難である。しかし柴田はそれを果たす
軽く力を抜いて立つ。しばらく何も変わらないように見える。それがまず左手が微妙に動き、やがて右手が微速度で横に延ばされていく。それに引かれるように体が動いていき、次第に捩れていく。このように体の動き、体自体に身を委ねて、そこに忠実に踊りを探る試み。それは自己満足に終わりがちだが、柴田は違う。動きの作り出すディフォルメした体、そして動くリズム、タイミングが動きをきちんと踊りにしている
舞踏ではない。ダンスで訓練された体。普通に踊ってしまうほうがどれほど簡単か。しかし柴田は困難に挑戦する。グループの振付けにも非凡さを発揮するが、ソロに本質が浮かびあがる。
今回2作品を1つにし、後半は腰を折った動きが中心だが、同様の動きの法則を徹底して一時間弱、飽かせず見せる柴田は今後も注目すべき存在だ
志賀信夫