牧嶋如鳩展、鵺的『暗黒地帯』

★8月9日
日本のイコン画家としては山下りんが有名だが、その弟子といえる牧嶋如鳩の展覧会が三鷹市美術ギャラリーで開かれている。
マイナーな存在なのだが、作品は滅法面白い。というのは、ニコライ堂でイコンを書きつつ、次第に仏画に向かい、両方が混じり会った作品を描いているからだ。それはポップともキッチュとも見える。ただそこには聖なるものをつなげて考える牧嶋の思想がある
キリストとブッダと中国の聖人が並び描かれ、観音にマリアが配される牧嶋の絵画はダイナミックで魅力的。奇想ともいえるこの世界は、今回見逃すと、次の展覧会は何十年後になるかもしれない
この美術館は通常八時までやっているらしい
★8月9日、劇小劇場
劇団鵺的の旗揚げ公演。パイプが配された壁にテーブルと椅子。シャブを打つ男の場面で始まる
欠陥マンション住民の夫婦と建設会社営業マンたちの争い。排水が逆流する工事ミスを隠蔽し住民に工事費まで負担させる悪質業者。韓国人差別を絡めたことで、内容に厚みと歪みが出た。高木登の脚本演出もしっかりしており、役者も上手く舞台にひきこまれた。ラストはさらっと抑えたが、それまでの密度に対してちょっと物足りない。暗い結末をさらっと描いたのだが、もう少し狂ったほうが、好みというか、効果的だと思う
★写真は浅草にて。シンプルが旨い
志賀信夫