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★8月3日
日暮里d倉庫でイーストドラゴンと称して、日韓、海外で活躍するアーティストたちの作品を三つ上演。うち二つを見た
沼田志歩は男性とのデュオ。よく体が動き切れはいいが、作品という個性は感じない。
韓国のキム・ソンヨンによる作品は美術家ジョン・スンジェ、音楽家三者のコラボ。パソコンで顔を描き投影する場面は面白い。ただフランス人フランソワ・リアランのノイズ装置など、同様のことをする日本人を何度か見ているので、美術音楽ともに新しさは感じない。ただかなり体が効くダンサーなので、それを生かした舞台づくりの場面があれば、もっと魅力的になるのではないか
★8月5日
『true』シアタートラム
ダムタイプの藤本康行の照明・監督により白井剛、川口隆夫が踊る舞台。あの色覚検査のような3色ライトを上部に円形に配して、左右の足場には色変わり蛍光管を仕込む。だがのみならず、足場の震え、そして下手に配された分厚い木の机が、巧みな仕掛けとともに、不思議な空間を作り出す
刳り貫かれる机、踊るグラスとカトラリーを含め、映像とともに奇妙な感覚を抱いた
これだけ強烈な空間ながら人間と身体をしっかり感じたのは、やはり白井と川口が身体の強い力を持っているからだ。戯れ、時に人形のようになる白井と、場の論理を司る川口の絡みも見応えがある。藤本はテクノロジーを使いながらデジタルでない不確定な形を探っている
それが自己満足にならないのは、照明という見せる技術が基盤にあるからだ。
ダムタイプが成功したのも、アーティストたちがどう見せるかを突き詰めたからかもしれない。先日の現代美術館での池田亮司展でも、見せ方の巧みさを感じた。これは重要なことだ。優れたことをやっていれば、わかってくれる人がいるというのは、場合により自己満足に陥りがちだ。こういった作品から学ぶものは大きい
志賀信夫