きざはし、天皇、手塚夏子

★7月25日は3公演1展覧会
駒場のあごら劇場で水と油のじゅんじゅんとモノクロームサーカスによる公演。特に坂本公成振付『きざはし』は素晴らしい。机の上の女、下の男という設定だが、徹底して上と下が切り離され安易に侵食しないストイックさが、最後の傾きを盛り上げ感動的。ナイフの危機感も上の揺れを補完する。野村香子が魅力的に見え合田有紀がまさに支えた。床に赤茶の土を敷いたら質感が変わっていいかもしれない
★次にシアターカイ。既存の枠を超えそうな作品には出会えなかった
茅場町のギャラリーマキでアートアクション展
大浦信行の天皇コラージュ『遠近を抱えて』が「アトミックサンシャイン」沖縄展で拒否されたことへの美術家たちによる抗議の展覧会、シンポとトーク。この日は小沢節子による丸木夫妻の原爆の図と沖縄戦の図な話。ちょうど『TH』誌の原爆の図とヨシダ・ヨシエインタビューが届いて持っていたので献呈し、途中だったが次の舞台に走る。小さいギャラリーだが山下菊二など作品は充実。もちろん拒否された大浦作品は必見。連日のトークもかなりハイレベルのようだ。詳しくはメルマガのマルドロールにスケジュールを載せた。電話0332970717。茅場町7分
★手塚夏子『実験ラジオ』ディプラッツ
手塚は常に踊りとは何かを探るが、そのなかで自分の踊りをある意味で否定し、何かと反応しながら自然に生まれる踊りともつかない何かを探る。それも自分の意図や体から出てくるものをどう裏切るかを探すようだ。二度目の実験ラジオは音楽のスズキクリ、照明の山下奈美がチューニングというキーワードで徹底して手塚の実験を共有する。見ていてひかれる部分はどうしても入り込んで踊るというか動く部分だが、コンセプトを外しても一観客として楽しめるのは、何か起こりそうで起こっていないように見えるものの感触だろうか
★写真は茅場町の川にかかる水門。上に建物があるのが何とも奇妙だ
志賀信夫