群々、村松卓矢、石井かほる

★7月8日d 倉庫で「ダンスがみたい」が始まった
最初の群々(むれ)は、小作品を並べたもの。全員で振り付けるというコンセプトのエスキスといえよう。中で岩渕貞太が振り付けた作品は、関かおりらの顔を隠したキャスパーのような雰囲気に奇妙な動きが目を引いた。また最後の長谷川寧振付けも才気を感じた。いずれもいい表現者なので、これらの素材がまとまっていい作品になることを期待したい
★9日壺中天で村松卓矢の「穴」は、最初の穴落ちの場面が秀逸。ラストの過剰なモノを身につけるところも凄い。アイデアに一つ芯がある。ただ景がそれぞれ冗長で、揃った群舞ももう一ひねりほしい
★7月11日石井かほるはやはり凄い。ダンスがみたいでの舞台は客席と舞台を逆転させた。その設定はテルプシコールで倭人文明やおかもとりよがやっており、インパクトはない。階段を登りハンガーを運びオブジェを作る男、椅子からたってバレエ曲で踊る女、喋りながら乱入する石井など、脇の要素が多すぎる。それでも岡佐和香が階段下に上向きで引っ込む瞬間、金野泰史の冒頭の緊張感あるキメなどが目を引く。だが何といっても最後の石井のソロは違う。あのしなやかに動く腕は、ピナ・バウシュと同質の踊りが体に染み込んだ腕だ。足さばき、腰の流れも流麗で、類を見ない
コンタクトインプロの創始者、ステイーブ・パクストンは踊りは六十からだという。見るべき踊り手はまだまだいることを感じて、うれしい一日だった

志賀信夫