白井剛、とりふね、ST、文殊ほか

28日
津田ホールで白井剛とアルティメット四重奏団によるジョン・ケージ『アパートメント1776』の再演。白井が楽団の中心から正面に立ち、こちらに向かってきて倒れるときが、素晴らしかったが、後は戯れの印象が前回と変わらなかった。やりたい感覚はわかるのだが、いま一つ詰められていない。たぶん白井と楽団が互いに遠慮しながらというのも一因だろう。また前半の現代曲の演奏はかなり楽しめた
29日
●とりふね舞踏舎の新国立劇場公演。小林芳雄の美術で宙に金と銀の祭壇のようなものがあらわれたのには驚いた。三上賀代、ゆっくりしたソロはさすがに存在感がある。嶋田勇介もよく絡んだ。ゲストの大野慶人、かなりいい。出だしから丁寧な踊り。そのあとの子供、ブランコを大野がこぐと、日常性が出てしまい、舞台としてはどうか。鏡の場面は面白かった
●STスポットで関西のダンスボックスの企画、関西ダンサーが見れるので、いい。特に最後の女性山田知美。痙攣するだけなのだが、強い表現性をしっかり獲得している。
●バンクアートのカフェライブ企画で文殊の知恵熱のパフォーマンス。コンセプチュアルアートと現代音楽に遊び感覚をとり入れた楽しい世界。美術家松本秋則の巧みなてわざによる不思議楽器と操るとうじ魔とうじ、舞踏の太陽神館出身の村田青朔の三人が活動して二十年。なにより初めての観客を楽しませるユーモア感覚がいい
●黒田オサムの記念企画には行けずに残念
30日
●ポかリン記憶舎の『鳥のまなざし』。これまでとは違う世界に紛れ込みさまよう二つの物語は時に交錯して戯れ合う。シアタートラムに独自の空間と時間を作り出した。日下部そうは何もない、リアルさのない不思議な存在感で、あちこち客演し活躍しているようだ。喜ばしい
●中野テルプシコールで笠井端丈と上村なおかのデュオ。ともに笠井叡の文脈でオリジナルを作ろうとしているが、もっと弾けていいのではないか
12月1日
●目黒大路によるソロ。這いずり丁寧な踊りは緊張感があり見せる。身体への感覚がいいが、後半フォトジェニック、つまりポーズ的になった印象。また生のドラムは訓練されたリズム感が感じられなかった
★写真は渋谷駅雑踏の謎の靴。なぜか靴下とともに脱ぎ捨てられていた
志賀信夫4-B