高橋理通子、ナチョ、テラアーツ

23日
●砧老人ホームの歌伴の後、竹橋の近代美術館で美術評論家協会のシンポジウム。批評を問うテーマとパネラー柄谷行人ゆえか満杯。いつのまにか公、左翼などがテーマにと、あちこち流れたが、面白い。
●そして向ケ丘遊園で高橋理通子の舞踏。吉本大輔組だが、アングラの感覚がしっかり漂い、素晴らしい。特に前半はインパクト、美意識ともに見事だった。東生田会館という小さな公民館を舞踏空間に仕立てたのはさすがだ
24日
●ナチョ・ドゥアトのロミジュリ。バレエを崩した動きが美しい。引き出し階段や窓開け背景といったシンプルで機能的な装置が時に重厚感も出す。これは見事。ジュリエットは魅力的。父母の国王とマキューシオなどの踊りがよかった。アフタートークプロコフィエフの音楽から発想して振り付け演出したと語るナチョはなかなか自然体だ
25日
●詩人川崎毅主催のダンスコラボイベントにテナーで参戦。千葉真士の音がだだっ広い空間を支配する。片側一面ガラス窓で海が広がる素晴らしい空間。大桟橋ホール初体験
26日
●テラ・アーツ・ファクトリー『イグアナの娘2』江古田ストアハウス。女性だけの言葉と身体表現。それぞれの持つ孤独とトラウマがテキスト化され、分断された吃音表現で示される。さらに後半では連合赤軍永田洋子の言葉が重なる。拘束された女性が中央で言葉の海に呑まれている。いずれも女性の発する体験と心理が強調され、現代のひっそく状況を映し出す。二景の連想ゲーム的言葉の掛け合い、応酬は即興だというが、林英樹のワークショップの成果だろう。女性の生の言葉が舞台に溢れ、見応えのある舞台になっている。なかで志村麻里子に言葉の強さを感じた。ある意味では抽象化して演じられる舞台なのだが、観客はその中でも個性と存在感を求めてしまう。それは生の舞台と身体が存在するゆえに、しかたがないことなのだろう。もう一景あってもいい気がするが、みるべき舞台であることは間違いない。30日まで

志賀信夫4-B