DANCE-X 08

青山円形劇場でのダンス交流プログラムは、日韓加三ヶ国のダンスのいま、を切り取ろうとする試み
●韓国のキム・ユンジョン「Meeting You」。赤い紐が舞台を左右に横切り、何か期待させるが、女性の編まれた服が解けて裸が次第に見えていくという発想はステレオタイプ。その紐を仮面のように巻いた赤パンの男がでかい袋に入り映像が映る。ベースは男女が絡むデュオで、それを趣向で飾った印象。裸身の絡む二人に映像が投影される場面は面白いが、アリスと王子様という一文には、?を
メラニー・ドゥメルス「Les Angles Morts」ともに紙袋を被り、チュチュで椅子に座る女と倒れ痙攣する男。長手袋とブーツで身を隠す。服や立場を入れ替えたりすると、実は男は義足であることがわかる。それを外したソロとデュオは独特のものになる。デュオを趣向で飾ったように見える点は前者に似るが、隠す身体に意味があると、全体として、あるいはディテールも意味を持ち、舞台としてしっかり立ち上がってくる。死角というタイトルはベタだが、身体から何かを探ろうという意識が伝わる作品として、評価する。
●浜口彩子「無敵」は女の子三人が、さまざまな動きを見せて、次々場面が変わるというもので、動きのアイデアと重なりで見せるが、長く、途中で飽きる。白いドアは昔のモダンダンス風で、パロディならいいのだが。それに、女の子身体というコンテンポラリーダンスモードはそろそろヤバい。もちろん自分達の身幅の身体性から発するという意味はあるのだが、映像で見せる団地の広場のノスタルジーといい、日常に甘んじているようにも見える。タイトルにも作品にもこれらの動きの必然が感じられなかった
反対に、女性の身体性に依存しているといわれがちな黒田育世NHKテレビ放映は物議を醸したようだが、その問題になるという事実が、黒田の作品が、女性の身体性に依拠しながら、実は同時に解体するという力と意味を持つことに、気づくべきではないだろうか
☆写真はチラシからメラニー・ドゥメルス
志賀信夫4-B