今年もダンス白州は充実

木金土と二泊三日だけど充実したプログラム
昨年会った人と一年ぶりなど、名古屋や関西圏の人との出会いも多い
学生、社会人、ダンサー、観客、批評家も関係なく、日頃まとっていると思っているもの抜きで話し笑う
そして劇場では見られない踊りが見られることは間違いない
自然と向き合い味方につけ、あるいは闘い踊る人たちと同じ場を共有する喜びがある。
●竹内登志子は建てかけの別荘前、役者鈴木史朗狂言回し役が語る台詞とともに、服に下着を重ねた衣裳で踊る。緩急の落差、半裸の鈴木との対照が面白い
●橡川キョウは細い草の道を白に桃色混じりのドレスで下ってきて、発信音とエレキギター音で優雅な雰囲気
●国江徹は草のなかに埋まるようにして静かに足を上げ、這いずる。立ち上がると黒い衣裳が貼りつき、せを丸め動きだす。肉体そのものの重さと存在の意味のようなものが立ち現れ、こんなに惹き付けられる踊りは久しぶりだった。
●ロシアのワーシャ・ユーシェンコは白いレインコートに真っ赤な体が血のようで、竹の太い男根を付けている。土の穴に逆立ちし這いずるなど激しさと淋しさが漂い、インパクトがあった
●安次嶺菜緒は鶏舎で鶏を放ちつつ丸尾尚子と戯れるのが他の作者とのコントラスト、いい意味で若い女性の感覚が出た
深谷正子は広い野原、畑の遠方に白い衣裳で椅子に座り、白い布を引きずりながら向ってくると頭に奇妙なオブジェ、白塗りの姿、ラテンの曲が自然に染みるなかで存在を立てる
●玉井康成とウラジミール・ヤヴォルスキーの『ドンキホーテ』は朝七時と夜九時。朝は野原に馬を模した自転車で登場する。夜は新しい舞台に三輪車とコドモ自転車。ヤヴォルスキーの崩れる体は演劇的に魅力があり、玉井の分節された踊りと相乗しあって人間が伝わった
●田中ミン、携帯なので文字がでません、は犬小屋からの登場で、特別ゲストは土方巽など死者たちを読み上げること。野外で踊るミンは、土を得た人間というか、捨てたい虚飾との葛藤じたいが踊りになっているように見える。クセナキスの音も息づいて聞こえた
●他に巻上公一さんのホーミーワークショップに参加。楽しかった
●写真は深谷正子。緑のなかに映える姿
志賀信夫