夏子の夏

●手塚夏子『人間ラジオ』神楽坂ディプラッツ、7.31
上手のアルコーブに手塚、黒い壁にチョークで書き始める。下手では鳴りものをあちこちに付けたスズキクリが、同様に。やがて書いた黒ラシャを破り丸めて前にゆっくり進む手塚はうれしそうに輝く表情。クリは音を出さないように慎重に歩み、それでも出る音に耳を澄ます
何度か行き来、裏に入ったりするが、上手手前で奇妙な動きを繰り返すさまがまた面白い
赤子や幼児が外界に触れ、新しいものを発見して喜び戯れるような、たぶん新鮮な感覚を舞台に乗せる。ずっと体と踊り、動きを自分の内部に探り続けている手塚だからできる表現だ
●写真は三条会秘密の花園』で配られた煎餅。砂糖の模様に土方巽が『バラ色ダンス』で配った入場券代わりの砂糖菓子を思った

志賀信夫