文楽、靉光、相良ゆみ演出デビュ

文楽の絵本太功記、折角の通し狂言、逆さに二部一部と見る羽目になったが、やはり傑作。今回はしばらく欠場していた吉田文吾がでてさすがの情熱的な陰腹、自死を演じたことをまずあげたい。入口で見かけて、復活はといったら、清水長左衛門やりますと。でてきたらやはり素晴らしい。いぶし銀というよりパワフル。本能寺の鶴澤燕三の三味線も凄い
靉光展最終日、近代美術館は一時間しかなく残念。彼の歪んだ暗い視線をさらに追求したい。図録を買うつもりが、読みたい文章なく買わず。少ない作品を網羅した以上に踏み込んだ研究があるのかどうか。あの有名な目のある風景には誰しも心奪われているのだが
相良ゆみが初めて振付演出で「古事記」。大野組を中心に嵯峨門下、さらにマキメ純と、多彩なダンサー。白い衣裳と音楽は予想を裏切らないが、それぞれのインプロ中心で、初めての観客には多様さが楽しめたかも。そのため初めて見た榎園に視線が集まった。いさぎよい眼差しと量感が、一時舞台の軸に見えたかもしれない
相良には遠慮が見られたが、存分に中心になる場面を作れば締まる。
次回はレベルアップしそうだ
打ち上げでニコンD40のシャッター設計者に会った。いま愛用しているので、なんだか嬉しい。「コルプス」誌表紙の伊藤キム像はこれで撮った。書店でも発売中。500円
志賀信夫