ク・ナウカと林檎

「奥州安達原」の初日。実験的、宮城聰の挑戦が光る。大学の体育館に異なる世界を作り出した。人を食らう鬼婆伝説と時代が重なる浄瑠璃でいまと中世をつないだ。しかけ、展開も見事で大高浩一、寺内亜矢子、トリックスター牧野隆二がしっかりとした演技、さらに美加理が見事だが、ネタバレを避け、ぜひ舞台で。言葉のわからなさは、かえって楽しく、演出意図だろうが、戸惑う人もいるかもしれない。なにげにちりばめたギャグもあるのだが。
日曜美術館岸田劉生の林檎を取り上げ、見ると横にあったので、撮った。三つの林檎の絵は存在論的かつ北方ルネサンスリアリズムのようで面白い。ただ番組では詩人が執拗に同じ話を繰り返した印象。NHKには詩のボクシングなどいつも同じ詩人が出てくるのは、やはりお役所的かも。前例ってやつね
志賀信夫