中野で花売り、そして黒沢美香

中野駅南口右信号渡ったサンジェルマン隣の花屋で舞踏家井上みちるが花売り娘。中野の劇場ポケットやシアターゼロ、テルプシコールで公演に花を送るときはぜひ立ち寄りを。王子の東京バビロンの「踏み外し」シリーズで2月17日に踊る予定だ。
そしてテルプシコールで黒沢美香「薔薇の人・登校」。超満員の客席にはコアな客が一杯。古沢たくと高見亮子が儀式のように登場して棒の先に付けた孔雀の羽、馬や小鳥の模型などを差し出す。美香はクリームのドレスに同色の布ショルダーで下手から登場し、掲げた右手を還しながら足でステップを踏む。その動きを基本として延々と繰り返す。ハリウッド女優のように高い髪と白い化粧で、ピンナップガール的キッチュな姿。やがて両手にしゃもじで踊る、リコーダーを吹き吹き踊るなど、児戯的な雰囲気に登校の意味を知る。太田裕美とキャラメルママ、はっぴいえんど系音楽は、黒沢が歩く心象風景を支えつつ、奇妙さを増大させる。思わず食い入るように見つめてしまう黒沢の舞台の魅力はまだまだ語り足りない

志賀信夫