上村なおか、ヤン・ファーブル

上村なおか「ニューホライズン」。白いリノに重なる四角い照明、強い生音から採ったようなノイズで、音節するような動き、振りは上村が模索する新たな世界を感じさせる。笠井叡の振付作品参加などで、影響もありそうだが、「自分」を生きようとする。上手奥で静かに立つ姿には、こちらに迫ってきた。さらに柱を中心に床の上で蠢く。さらに観客の間近で屹立し、倒れていく。新たな地平へ踏み出そうという意識がタイトルのみならず、舞台を強く支配している力作だった。
ヤン・ファーブルは埼玉芸術劇場で、舞台「私は血」が2月16から18日に上演されるが、美術家としても活躍しているヤンの個展が清澄白河の倉庫ギャラリー、シュウゴアーツで始まった。脳をテーマにしたドローイングと立体によるもの。父と母の脳、大きい脳を筋肉人間を掘るオブジェなど、ヤンの世界の一つがそこにある。身体にとことんこだわる展覧会は3月10日まで。
写真はヤン・ファーブル

志賀信夫