ルカバリエ・今津@ 青山円形

レンツ作品は闇のなかでソロ。見えない舞台への意欲を買う。さらに踊り続ける執拗な腕の回転はミニマルかつ身体のリアリティを出す。しかしシビアにいえばそれだけだ。次の位相を獲得しないと、挑戦の枠内にとどまる
ラララの過去で語られがちだが、その技術を使いながらも、ルカバリエは独自の感覚がある。
今津とのデュオは振付家のセンスを感じたが、ルイーズの役は誰も演じられない。あの微妙に震える身体の感触を舞台にするのは、難しい。クリーム色の衣裳の使い方は時に人形的でありつつも、面白い味を出す。
次のソロは踊らない踊り。ジャージ、パーカーで包んだ身体は這いずりながら、語れない言葉を伝えようとする。丁寧な踊りからは色んなものが沸き立ってくる。静かに刺激的といえるダンスだった


志賀信夫