佐熊桂一郎を見る

ある画家の存在を知った。油で日本のイコン的世界を描く。神社に昔から奉納されていたような雰囲気で、顔はシンプルな巫女的表情だが、本物はなんとも魅力、独特の質感がある。
とあるコレクターのお宅で見せていただいた。山下菊二、クービンなどの傑作に触れながらも、若い美人画家らと酒を酌み交わす。
鶏と栗の赤ワイン煮、蝦のスバイシーソースなどに舌鼓を打ちつつ、緩やかな時間を過ごす。気がついたら八時間がすぎる。ジュヴレイシャンベルタンやシャトーピブランなどを飲み干し、宴は終わった。こんなのんびりした時間は久しぶりだった。そして寒さとともに冬がやってくる
志賀信夫