笠井叡VS高橋悠治@セッションハウス

6月21日、5週4回公演のラスト。
高橋悠治がピアノでバッハの「フーガの技法」を弾く。ポロン、こぼれるように流れる音はポロン、こぼれるように流れ、それが次第に舞台に満ちていく。初回は音の雨、音符の降るなか笠井がそれを浴びながら踊っている印象だったが、今回は音満ちるなか、時には泳ぎ、時には争い、あらがい、絡み合い、まぐわうかのようで、音と踊りのつながりが、より深まった。高橋も合間にかなり笠井を注視し、笠井はピアノの下に入りぶらさがりそうになったり、高橋の背後に立ちビアノを弾く当て振りから横移動するなど、自由に踊りを楽しむ場面も多かった。そして置かれた椅子に座らずに、投げ飛ばして暴れるなど、格闘しながら倒れていき、照明がぱっと落ちる。ラストも印象的。後で聞くと椅子に座ってフェイドアウトの予定が、倒れたために変えたという。いい判断。最後だったため、アンコールで一曲ひと踊り。最高です。たぶん笠井叡高橋悠治の組み合わせはまだ続くと思う。

志賀信夫