reset-N、畳半畳、山本萌

「アダージォ」あごら劇場、6.10は白い舞台に町田カナとフランス女優の二人芝居。さまざまなテクストからのコラージュによる短篇集だが、妊娠、セックス、娼婦などのテーマで繋がっている。会話は日本語とフランス語に字幕だが、対話ではなくモノローグがぶつかり合う形なので、違和感がない。白い舞台の上方に透明のパイプ中の二十日鼠が二匹。もう一つのパイプからは濁った水が吹き出て舞台に溜まる。町田は黒い衣裳で娼婦となり、水に横たわる。水面に映る横顔は際立って美しかった。ただ言葉の内容が少しステレオタイプに思える。異化するにはもう一つの層に言葉を持っていくほうがいい
畳半畳はその名の通りの狭い場でどこまで踊るかという、ダンサーの実験場。相良組はシャボン玉と水デッポウによる女二人のバトル。絡み重なるフォルムはなかなかいい。
大倉摩矢子はやはり緊張感と集中、のめり込みで圧倒的。木檜朱美は茶のショーダンス衣裳なのに、次第に奇妙な味が出る。いま黒沢美香のダンサーズで影響は顕著だが、大野一雄に長く師事した舞踏魂は変わらない
野出姉妹、富岡千幸ともにもう少し大きい声が合う。キャンディ的衣裳で猫喰いする子は、母がビデオを撮りつつ入って来るハプニングに一票
「21世紀のケラ嫁」タナトス6は6.11。テーブルに突っ伏し、おにぎりと戯れる山本萌。アルミホイルをいくつも垂らしたホリゾントにいい姿、いい表情。老人ホームの会話と北欧の奇妙な音楽が流れ、演劇的感性を感じた。