室伏鴻、大山美信、舟越直木

室伏鴻「quick silver」は昨年バンクアートでやった作品だが、まったく違うものになった。バンクアートの廃墟、暗がりで自由に移動しつつ踊る室伏は、雰囲気にあった廃墟に生息する動物のようでもあったが、今回は劇場を超えて彼の踊る力が溢れだした。
黒いコートと帽子で階段を降りてくる銀色の男は、柱の間で手の踊り、そして激しい最初のクライマクス。そして銀の裸身が輝く。下手の塩の山から跳ね暴れ回る姿も凄い
銀座のギャラリーモテキの大山美信展、黒いフォルムのドローイングはペインティングのエスキス風だが、よく見ると黒の部分に独特のマチエールが立つ。墨で枯れつつあるかと思えば、実は鮮度が光る。
そばの彫刻専門ギャラリーに入り、舟越直木に魅せられる。保武の子、桂と兄弟だが、彫刻表現を拒否するような石膏の人物と、大きい卵か石のような球体には青みが僅かに見え、生命を兆す。さらにそのドローイング、淡く滲んだ絵具の色の存在感、とくに聖母子にも見える姿からは目が離せなかった。
写真は大山美信作品、部分