ケイタケイ『Light Part 7』

★8月25日、豪徳寺・ムービングアース・スタジオ
ケイタケイは七十年代、米国で活躍し、日本に帰国後も積極的に活動を続けている。その作品はライト・シリーズと呼ばれており、ポストモダンダンスが席巻するなかで、その行為的要素にエスニシティや神話性、物語を感じさせる要素などで衝撃を与えた
今回はシリーズ7にあたる『創作畑の日記』。ニューヨークで74年に行われたものの日本初演である
生成りっぽい白の舞台に白の衣裳。ちょっと日本神話的モダンという装置は太い縄を周囲に巡らせ中央には二本の木造の塔が間隔をおいて並ぶ。上手奥に二人の男性、木室陽一とラズ・ブレイザーが座り、下手の女性が歌いながら中央に縄を張り枠を作るとそこで奇妙なしぐさと表情を儀式のように繰り返す
そして中央では脇でケイタケイが杖とともに、「緊張」「弛緩」「第一ポジション」など命令するのに合わせて6名の男女がポーズを取り、「肘で語れ」などに対して踊る
この部分、ワークショップを舞台に載せる点で当時は斬新だったかもしれないが、いまは緩く感じる。ただ、民衆と魔女のような関係が面白い
後半、袋に入れた風船をその男女が「右にでて一つ」など歌いながら並べていき、構成された舞台美術が出現する。この繰り返しは、抽象と行為を生の言葉で儀式的に見せる点で秀逸
ラズが男女に絡み付かれた場面、木室が中央で横たわった踊りも見所だった
そして特筆すべきは、ケイタケイの山ん婆のような存在が不思議な雰囲気を与えている舞台であることだ。
縄など興味深い要素も多いので、もっとタイトに締めると密度の高いレパートリーとして成立すると思う
★写真は浜松で見つけた古い飲み屋街、サッポロ街。タイのお姉さんがいそうな店もあり、なかなかの風情
志賀信夫