山田茂樹のチャレンジ

ストリート出身ながらプティのピンクフロイドバレエなどにも出演し、身体性が高く評価されるダンサーで、踊れる男だけのダンスグループ、カイム、KAyMの一員、山田茂樹が初ソロ公演を行なった。場所は中野planBで、舞踏の多いアングラ、まさに地下の小屋にいつもと違う若い女性などが詰め掛けた。カイムには三木雄馬、辻本知彦などバレエ、コンテンポラリーの人気ダンサーたちが集まっている。上田遥は山田を「詩人」と読んだらしいが、そんなセンスも垣間見える。
暗い舞台上手奥に文机、電球が照らし、湯を沸かして茶を飲み煙草をくゆらす。自分の部屋を演出し手前に大きい透明パネル。鏡のようにその前でポーズ、ストレッチ、踊り。下手には大きい正方形を九分割したものが描かれ、そこに出て踊ると位相が変わる。その中心のさらに九分割された部分で不自由に踊るなど、発想と意欲を買う。ダイナミックに踊れるだけに、制限された部分での踊り自体はもっと考え、ボキャブラリーを増やす必要があるが、踊れるダンサーが、こうやってオリジナルな創造に挑戦することがうれしい。これからにおおいに期待する
志賀信夫