神村恵VS種子田郷

神村恵はいま最も面白いダンサーの一人。愚直に自分の動き、踊りを追求している。いわば手塚夏子、大倉摩矢子などに共通して、踊りへの意識が見える表現者だ。種子田郷はマックのクリック音や自然音を加工し独自の音を模索する音楽家。どちらも求道的かつたぶん頑固。この二人がぶつかる舞台は、それぞれが自分の世界を作りながら見事につながるものだった。会場は高速、車の音などが時折聞こえるが、種子田はわざとその音をライブで流し、環境を逆手にとった。そして手前に置いたタグチのスピーカーから響く重低音は、その先の空間を広げ、「うろ」と題した闇を現出させた。神村は倒れたままの動きなどおそろしく美しい場面があり、また背後の空間や階段では見事な照明と相まって美的世界も見せてくれた。全身すっぽり袋を被った部分は下手きわで動ききれなかったが、二つの才能がかくも交じり合えたのは、たぶん衣裳や照明の支援の賜物とも思えた。さらに発展した形での再演や共演が期待できそうだ。
さて、写真は納豆コーヒーゼリーサンド、オフィス近くにできた鞍馬サンドの名物だ。食うと糸を引き恐ろしげだが、イケるのにビックリ。アリです。ただしばらくして納豆風味が再燃するのがちょっと。
志賀信夫