ダンスコロキウム、加藤淳

笠井叡が若手女性ダンサー5人を振り付けた。ピエール・ダルド、白井剛に続くダンスコロキウムの3番目の企画。
二世ダンサー、つまり親がダンサーである若手たち。笠井はシューベルトの『冬の旅』を使って美しい舞台を作りあげた。特に笠井の「美学」といえるものが立ち上がる。洋風のバスタブにシャワーから垂れる音が抽象的に全体に流れ、時に強いシャワー音としてアクセントとなる。シューベルトは抑えたリミックス。それがリフレインで個性を見せるときの畦地亜耶加のソロは際立った。のみならず遊びのある展開、ソロ、2人、3人と組み合わされる動きがどれも楽しめる。舞踏家でありコンテンポラリーダンサーでもある、というよりも60年代から舞踏の提示した「踊りとは何か」という問いを生きて踊り続ける笠井だからこそ、若いモダン、コンテンポラリーのダンサーたちに、このような舞台を作らせることができると思った。
彼らの作品がこれからそれぞれどう変わるかが楽しみだ。
夜は車椅子ダンサーの加藤淳。客演の舞台で注目していた彼のソロ。いい部分とインバクトはそれなりにあるが、技術、見せ方、そしてなにより「踊る」ことへのモティベーションをもっと突き詰めてほしい。
土方巽が身障者に嫉妬しその動きを真似ようとしたといわれるが、動けない体だからこそできる踊りぱまだ先にあると思う。