4/29〜5/9の舞台・展覧会など

 

 連休といわれる日々を中心に。ツィッター書き込みに加筆修正した。

 

 ★4/29

 ・巣鴨NPOアートプレザンスの会議。福島大学の星野共・早稲田大学の吉田裕氏ら。

 ・星野共氏らを誘って、千駄木ギャラリーKINGYOでヒグマ春夫映像のコラボ。紙田鏡子がペン画を淡々と描き続ける。移動しつつもただただ書く。それをリアルタイムで撮るヒグマの映像、横浜大桟橋で同様に描く紙田の映像。シンプルだが彼女の生を出そうという意図が伝わる。しかし、女性をいかにも綺麗に撮った画像が混ざり、違和感を抱いた。先日の宮田絢子とのコラボの映像でも見られたステレオタイプな絵。これを提示するなら批評的眼差し、あるいは徹底した戦いが必要ではないか。

 ★5/1

 ・フランスから来ている振付家フィリップ・シェエールを誘って代々木公園のピクニック会。高藤、中村洋子、マイケル・サイモン、ホルモン関根、在ル歌舞巫に中村友人の二十代若者、居合わせた音楽トリオほりちえみも混ざりのべ二十名で昼のパーティ

 ・その後、品川、新馬場の六行会ホールでダンスのネクストストリームコンテスト。AMMの北嶋、いだくろ、グレンカズマ、谷よう子など旧知も出演。

  ゲストのはむつんサーブ、数年前に見た面白さはなくびっくり。音に引きずられダンスが立たない。グレンカズマ、テクニックはあるが見せ方とコンセプトが甘い、AMM、詰め込みすぎでゴチャだが、何か、「今」がある。イダクロ、タイトにうまくかっこいい。谷よう子、いろいろやりすぎ。仮面もいらずシンプルに踊ればいい。カジュカジュ、テクニック、イメージもあるが短く、もう一景ほしかった。しかし、いずれも評価されず、いいなと思っていて賞に入ったのは、茶色いプリンだけ。茶色いプリンは、ダンスが見たい新人シリーズで最後まで残った鈴木拓朗たち。今回はシンプルだったが、奇妙なテイストとパンクな感性を買う。その場の打ち上げに参加。花光、稲吉、高橋各氏、出演者と話す。

 ★5/3

 ・佐々木耕成展『全肯定』@331Arts Chiyoda。佐々木、ヨシダヨシエ、福住廉によるシンポ。http://twitpic.com/1lpgmn

佐々木耕成はすごい。60年代、ジャックの会という前衛美術家の集りの中心にいて、千円即売会など大胆な企画を行い、その後、パフォーマンスを展開してテレビにも登場。米国にわたって活動して、帰国してからは沈黙を守っていた。近年活動を再開。ペンキを使って描く大きい抽象画は、大胆かつ独特の曲線のフォルムはオリジナルな美しさと力強さを持っている。秋葉原の学校を再利用したアートスペースは広い白い空間で、ここに佐々木の作品は非常に映える。群馬県赤城山中で淡々と制作を続ける82歳の佐々木の展覧会は、いま最も見るべきものだ。23日まで。

  http://www.3331.jp/schedule/000137.html

 ・そして丸善で開かれている第二回世界創作人形展で井桁裕子作品を見る。昨年から「世界」がついたのは、欧州の作家などが何人も作品を出しているからだろう。日本に来て、球体関節人形を見て、取り入れた人もいるという。興味深い展開だ。

 ・さらに再び六行会ホールで、初期型『FREAKS』。あまりにも雑然としていて、これで活動をしばらく休止するということなので、かなり残念。やりたいことを全部入れて無理やりやろうとしている。それを一度そぎ落として、タイトにして、また肉付けるという作業をしないと、いい舞台にはならない。即興コラボイベントならしょうがないが、公演としては評価できない。たぶん当初、フリークスというタイトルで当初は異形の人々などをイメージしていたのだろうが、その問題性から単なるお化けとかを含めた曖昧なものに転じてしまったのではないか。そのためテーマの追求も甘くなり、舞台も甘くなったと推察する。これをワークインプログレスとして作品を形にしていけばいいのだが。

 ★5/4

 ・美学校研究室「行使膣展」@神保町・文房堂ギャラリー。中島晴矢のパフォーマンスは、新左翼の格好でアジり、股間で爆竹を破裂させ全裸に。この弾け方を二十台がやるというのが、なんとも楽しく、頼もしい。展示された作品もかなりレベルが高い。http://twitpic.com/1kx3li

  そのあと、宮台真司と内海信彦の対談で、全裸のまま司会する中島晴矢。鈴木邦男も来て、会場に大須賀勇の姿もあったが、途中で次の舞台に移動。http://twitpic.com/1kx6ju

 ・渋谷オーチャードホール森下洋子松山バレエ団の『ロミオとジュリエット』。森下さんはやはりオーラが漂う。

 ★5/5

 ・パークタワーのイメージフォーラム・フェスティバルで2プログラム見る。ドン・ハーツフェルトはとことんブラック。教育番組タイトルやCF不採用ネタも当然。例えば「ビリーの風船」という作品は、風船が紐で子供の首を締め空に連れてって落とすなどを執拗に描く。シンプルな線がどんどんリアル、不気味に見えてくるから凄い。アカデミー賞ノミネート作家というが、かなり危ない。

 ・ロバート・ブレアは、コラージュ、写真、ドローイングのコマ撮りの超スピードのつなぎに息切れする。五十年このスタイルなのが凄い。ポップになりそうなのを壊していく感覚、抽象にたいするこだわりも面白い。

 ★5/7

 ・田中英世舞踏写真展@新宿ポルトリブレ。50人以上の舞踏家の写真112点。池田ユリア、えーりじゅん、小林嵯峨VS黒沢美香など、レアな写真も一杯で見応えがある。初日は宮下省死、正朔、長岡ゆり、増田直行、企画した中西レモンらが集まり、オープニングパーティ。ポルトリブレ代表の平井さん、同世代でなかなかいい感じ。舞踏に関心がある人は必見の展覧会。これは田中英世さん。 http://twitpic.com/1lr5wc

 ★5/8

 ・松下正己ソロ@中野テルプシコール。メシアンの曲で四回踊り続けて、その集大成としての舞台。かなり見ごたえがあり、いい踊りだと思う。踊りと体を追求する姿勢は評価できるが、ただ前の舞台と比べて、舞台としてのスリリングな挑戦が伝わらなかった感もある。四回やった結果を生かそうとしすぎたのか、新たな波動が生まれなかった。しかし、そのストイシズムを高く評価しており、次回に大いなる期待を抱いている。

 ★5/9

 ・東京シティ・バレエ『ラフィネ・バレエコンサート2010』ティアラこうとう。ゲストのキミホ・ハルバート振付作品は特に見応えのある舞台だった。前半とラストのコンテンポラリーなところが凄く格好いい。ただ真ん中に入るクラシックな場面とはバランスが悪く、もう少しコンテ寄りのモードだといいだろう。そして、この作品では、群舞がもっと揃うべきだ。

  金井利久振付作品は、ショパンのコンチェルトをうまくソロに振り分けた。若林美和の動きがよかった。作品としては、さらに三美神のイメージを被せるともっと広がるのではないか。小林洋壱振付作品は、タイトル『ホタル』でそのまま。絵的にはきれいで子どもには受けるかもしれないが、もっと抽象化を求めないと、大人には弱い。ソ・ユンソク振付作品は、無音から始まるソロを巧く群舞と重ねた。赤い衣装と情念的な踊りがクラシックの群舞にうまくコントラストを作っていた。

  最後の『ライモンダ』は志賀育恵と黄凱のデュオが安定して見事。志賀のソロなどコケットリーがいい。ただ、ソロに見る黄凱のキレはいまいち。他には安藤紗織のソロとがなかなかよかった。

 ・武藤容子・今野真弓@東京バビロン。二つのソロ。ともかくストイックな舞台に痺れた。武藤、壁を後向きで這う緊張感、箱馬もシンプルで見事。踊る場面はもう少し粘っこいといい。今野、足踏みの連続とラストの両手を上げていく姿は恐ろしく美しい。椅子との絡みはもっと抽象的になるといい。手を摺る場面は手だけに集中して重さを出したいところ。

 ★写真はお勧めの画家。佐々木耕成。82歳。