4月24日〜25日の舞台と個展

★4.24
・銀座、ギャラリー58の一ノ宮佳邦展。キャンバスに油絵なのに、何かレトロな染色にも見える質感が不思議。薄塗りを重ねているという。もともと具象だったそうなので、暖かみはそのためかもしれない。
・馬場まり子展@コバヤシ画廊。この大作はなかなかいい。巧い絵ではないが、同じ題材の連作からの一つの成果だ
・ドミニック・エザール展@ギャラリーフルヤ。作品は畳や和紙を使った独特のインスタレーション『移すdeplacer』。長く日本に住むフランス人女性。荻窪の古い家を引き払うときにそこでやったインスタレーションを銀座のソリッドな空間に持ち込んだ。焼けた畳の色、障子紙や畳裏、剥がれたアスファルトなどが詩情を産む
・縫部憲治ソロ@中野テルプシコール。白い防塵スーツで震えるようにフラッと踊る前半、裸身に白いウエディングドレスで暴れて踊る後半、いずれも体を問う姿勢がひしひし伝わる。十数年ぶりの再演というが、踊りは生きている。
★4.25
・モレキュラーシアター『バレエ・ビオメハニカ』@早稲田大学。メイエルホリド、ジュネらのテキストに、プロジェクターで自身の影とともに踊る女たちの体を拮抗させようという試み。これによって政治的テキストをどこまで演劇とともに解体できるのか。二年前の月島公演に手を加えたもの。八戸で前衛を貫く豊島重之は重要な存在
・田山明子『私の碧空2』中野テルプシコール。田山明子は素晴らしい。後向きで腰をくねらせ踊り出す。だがしばらくするとそのまま自分の頭を右から何度も叩き出す。暗転すると、頭をこちらにして仰臥し、次第に足を開いて上げ頭をこちらに反らす美しさ。そして足に徹底してこだわる踊りが続く。町田康のグロリアのなか、静かに光に包まれる。一幕目は圧倒的で涙が出そうになった。
・富士栄秀也企画「過去の自分と共演する。1」西荻THEロック食堂。山下渉のギターは繊細。何げにジェフ・ベックを忍ばせるところがそそる。富士栄秀也のヴォイスは前回の映像とともにという企画に一番マッチする。新生呉羽の踊りは小さい空間、間近だと存在感がある。村田峰記のパフォーマンスは前回の本をペンで掻き毟る映像の前で、着たワイシャツの背中をクレヨンで塗っていく。映像の中の苦しげな声はいま一つ。
・THEロック食堂のなまはげ中華そば・黒。黒味噌黒胡麻野菜山菜たっぷりに牛肉で旨い。ここは秋田料理に力を入れている
★写真はドミニック・エザールのインスタレーション