キッドアイラックホール、ヒグマ春夫の企画、第五回ACkidの三日目、美術家関直美と舞踏家百合子の舞台。舞台上手下手に一つづつ置かれた白い関のオブジェは蝋にファイバーを仕込んだような鋭さと繊細さ。実はパウチで作ったというが、不定形の魅力がある。
黒い舞台に白いオブジェが光るなか、シュミーズ的衣裳で登場する百合子は、奥の壁沿いで踊り出す。壁に沿い並べられた裸電球が下から照らす百合子は、その影とともに美しい。実はその裸電球たちは、センサーによって百合子の動きに従って照らしていたという。照明の作為とは関係なく照らす裸電球は、背後から百合子のシルエットをありえないほど表現主義的に美しく見せた。特に下半身を背後から描く光と、上半身の大半を闇に落しながら伸ばした両手から怪人のように広がる影に魅了された。
しかし中央で光の下にいる百合子はその美から遠い迷える小羊で、ためらいが出てしまった。また前半のノイズはいいが最後の選曲はうなずけない
やがて関のオブジェは膨らみ始め、舞台の左右から百合子を襲う、そのコントラストも素晴らしかった
★写真は舞台後、携帯でポーズをとってもらい撮影した百合子と膨らみしぼんだ関直美のオブジェ