ムスタヒール・アリスとザヒーラ

★2月11日
市川大野〜両国〜馬車道新宿御苑という行脚。
最後はタイニイアリスでイラクチュニジアの舞台。イラクはムスタヒール・アリスによる「アブグレイブ」。米軍の拷問で有名になった刑務所だがフセイン時代もここで拷問・処刑が行なわれた。これはヤーセル・アブダルラザークが音楽を禁じられ捕まりアブグレイブで亡くなった友人のことから書いた作品。といっても台詞は冒頭と最後の短いモノローグのみで、あとは体で表現するセノグラフィ演劇。実はアラブの吟遊詩人時代からの伝統として無言劇があると、同席した村井さんはいう。ともあれ、舞台はわずかなセットながら、後半のダクトチューブの乱舞など、なかなかダイナミック。
チュニジアのセンディアナグループの舞台は女性の一人芝居「センディアナの女」。台詞まわしなど実に巧みで女性の社会のなかでの状況をモノローグのみで語るが、踊りや歌も入り場面は何度も転換し、飽きさせない
最初の劇団はイラク攻撃の際に劇場を守った劇団があるという新聞報道をタイニイアリスの西村博子さんが読み、それから探して招聘して今回が四回目の公演。この情熱が「ちっぽけなアリス」を世界とつなげている

★写真は左から男性が、イラクのモハンマド・アルグライリ、演出のアナス・アブダル・サマド、ヤーセル・アブダルラザーク、女性がチュニジアのザヒーラ・ベン・アマールさん
志賀信夫