宵の一二三@吉祥寺と我妻恵美子

★1月29日
ラーメンと舞踏
実は一二三は十年くらい前から入りたくて入れない店。当時珍しい無化調かつ自然素材にこだわり過ぎの蕎麦のようなラーメンで知られた。しかし吉祥寺で立ち寄ると終わっている。七時閉店。だいたい吉祥寺に行くのは夜だし友人とは呑みだから、従ってたぶん三回以上外している。駅からちょっと歩く。そのずっと先に大駱駝艦の壺中天があるので、年に数回は近くを通過するのだが、舞台の後はいつも終わる時間だったりして果たせなかった
今日も大駱駝艦壺中天で我妻恵美子の『煩悩カケル』を見た帰り、五日市街道の交差点を渡り、ふと思った。夜、別のラーメンをだしていると読んだ記憶が蘇った。のこのこ歩くとやはりラーメンの文字、しかし、三郎?これは明らかに二郎インスパイア、近づくと隣に、宵の一二三の文字。やったあ
塩ラーメン一点のみといさぎよく900円。スープは鶏から丁寧にとった澄んだものにたぶん鶏油。さっぱりしっかり。麺は黄色い小麦の平細麺と茶色くさらに細いたぶん蕎麦混じり麺。ひるがおの手法に似る。鶏肉も上品。そして茎若芽と葱。しかし次第に化調つぽい感じがする。さらに茎若芽が明らかに強い。せっかく二種の麺でも、食感、風味ともに負けてしまう。そして思った。化調っぽさは、茎若芽のアミノ酸か、あるいはこの味付けに使っているか、ではないか?
これだけこだわりながら、後味に茎若芽とアミノ酸ではもったいない。やはり鶏スープ自体の風味と麺の味てあってほしい。なお、昼の弟子が夜独自に出しているラーメンという。意欲は素晴らしいのでさらなる追求を期待したい。ああ辛口になってしまった。途中の麺憎も一杯、三郎も今度トライしよう
でもやはり昼の一二三。に行ける日はいったいいつ来るのか。舞台前は腹一杯になりたくないんだ
★気を取り直して、我妻恵美子の『煩悩カケル』。これは大満足。特に冒頭、金属の輪の中で宙吊りになっているところは、素晴らしいの一言に尽きる。輪のこだわりはそのあとも登場するが、もっともっとこだわったらよかった
しかし男女の群舞の振付も楽しいし、特に高桑とほこ鉾久の女二人の争いがいい
さらに棺桶を介した男女のエロ場面も笑った。男性だけ、女性だけになりがちだった壺中天公演に新たな展開が期待できる若手の挑戦として歓迎したい
志賀信夫