パル・フレナック、鴻池朋子展

★9月19日
・オペラシティで鴻池朋子展。前にTH誌でインタビューした。少女的偏執を突き詰めつつ独自の神話を作り出した。楽しいのでお薦め。巨大なミラーボール頭は一見に値する
・ステッチバイステッチ展。以前から注目している刺繍による現代美術の企画、やられたっという感じ。ただ障害者アートを入れた点、なによりも庭園美術館というデコラティブな空間に不思議にマッチしたため、空間ごと楽しめる。あとは庭園でまったりもいい
ハンガリーのコンテンポラリーといっても、知られていない。フレナックはパリとブタペストで活動する。セッションハウスでの公演は、同じ作品二本を若手ダンサーとパル自身がソロで踊る。壁に張りつき三角に当たった照明で、若手はかなりねっとりしたソロが魅力的。それから舞台中央に広げられた巨大な円形の布の中心でそれをまといながら踊る。このタイプの布はアブラモビッチインドネシアのダンサーで記憶がある。踊るといっても、まとい回転してまきつけていき、それで終わるため、物足りない。あとで聞くと、さらに吊り下がる場面があるが、舞台構造からできないらしい。そこまで見たかった
次は海水パンツに足ヒレをつけた若手が、四角形の一辺を照らす照明の上をバタバタ走り、コミカル。ライトの四辺の中にはフランス語で詩的文章が投影される。影と線にからむ言葉が続く。その後、その暗い空間を水中に見立てて、中を泳ぐように踊る。這い、床に横たわる動きは体が軟らかいため、見応えがある。
コミカルな雰囲気だが、体の感覚はねっとりしていい。佳作といえるだろう
★写真は鴻池展から。この下半身があちこちにさりげなく隠れている
志賀信夫