裸の女房

1960から70年代に全裸で踊り話題になった前衛舞踊家がいた。名は伊藤ミカ。ビザール・バレエ・グループを率い、『O嬢の物語』『愛奴』などの問題作を舞踊化して上演、批評家の評価も高かったが、早くに亡くなった。伊藤ミカは邦千谷にまなび、千谷や正美の舞台に出た後、独立し、エロティシズム文学を舞踊にした。マゾヒスティックなテーマが多く鎖をまとったり鳥の羽で全身を覆い仮面を付けるなど、大胆な舞台。赤坂のクラブ、スペースカプセルでは、唐十郎寺山修司土方巽らと肩を並べて、定期的にショー舞台を展開した。
ミカは女子体育短大卒の中学教師で、若くして結婚した夫は伊藤文学。『ママどうして僕涙が出るの』などの愛情物の著者というより、初の同性愛雑誌『薔薇族』の編集長として有名である。
その伊藤文学が妻、ミカの資料をもとに描いたのが、『裸の女房』。六日土曜日に銀座の老舗キャバレー、白いばらで出版記念会が開かれた。吹き抜け、二階がありバンドが入るいわゆるグランドキャバレーは日活映画のようなレトロな雰囲気。ゲストにSM女優早乙女宏美がミカを模した鳥の羽を裸身に付けて客席を周り、KIMIKOの歌『友よ』、さらにホステスのサービス、歌とダンスショーなど盛り沢山だった。平均年齢がかなり高い回に赤土類とともに参加、たまたま同席したのはヴァニラ画廊社長とスタッフだった
七時までの会を終え、新幹線で新潟に向う
★写真は挨拶する団鬼六伊藤文学両氏

志賀信夫