静かなファナティズム・岩名雅記

フランス在住の舞踏家が七年ぶりのソロ公演@pit/北区域。白塗りにボロボロ、赤い唇と隈どり、包帯に紋付の黒、赤い布に風鈴。絵金か芳年の絵から抜け出してきたような姿が、円形の池を模した空間にたたずみのたうつ。限りなく静かな空間に緊迫が漲り、稀に響く轟音が感覚を逆立てる。後半は言葉を絞りだしながら揺れ暴れ、不自由な自分を作り出す。バーバーの曲の終演も音を歪ませ狂いそうにかつ静かに。
海外在住舞踏家の素晴らしい舞台に触れると、舞踏にいま必要なのはファナティズムとアナクロニズムだといいたくなる。少なくとも舞踏に暗黒を取り戻したい
写真は終演後の挨拶に立つ岩名雅記
志賀信夫4-B