バレエとコンテ、「どぶ」必見

東京シティ・バレエ団がコンテンポラリーの若手作家に振付を依頼するという意欲的な企画。バレエダンサーも振付家もとまどいながらの挑戦だったようだがなかなか面白い舞台になった。
JCDNの踊りにいくぜ、前橋に触発されて、ティアラ江東の広いホールのあちこちを使いながらの公演は、プロセニアムに縛り付けられない楽しさがあった。
鈴木ユキオは地下駐車場でダンスを壊そうと試みた。最初に登場したダンサーはそれにかなり答えていたようだ。ダンサーがもう一歩踏み出せればよかったが、ダンサーのモティベーションにかかってくる。
白井麻子は、屋外を使い中から見るシチュエーションを選んだのがよかった。特にガラスの壁にダンサーが体を押し付けて踊る姿を内側から見るという体験は体の外部と内部を意識するところもあった。
楠原竜也は階段落ちから始まり、ファッキンバレエを連呼させるなど、得意の笑いネタを絡めてたのしい。バレエテクをギャグにバレエダンサーがやるところは、この企画にマッチした。ただエンターテイメントに納まらない彼の意識が観客に伝わるのは難しいかもしれない。
真島恵理は回転ドアを使いさらに別のドアを持ち出して一つの作品を作ったが、回転ドアだけでもっと遊べたはずだ。さらに二階でデュオ作品を作った。楽しかったが、プリンシパルの小林洋壱の魅力は出なかった。ロスで玉野黄市の舞踏公演にも出た真島なら、もっと大胆でもよかった。ただこういうチャレンジはとても意味がある。次はバレエ団まるごと舞踏家に振付けをぜひ。
舞踏といえば、大らくだ艦壺中天の村松卓矢「どぶ」は傑作。冒頭が素晴らしく、その雰囲気を最後まで持続した。さらに若林淳を死体にして扱うところ、女装三人組の扱いなどいずれもいい。明日までトラムなのでぜひいくべきだ。

写真はわっぱ弁当380円。おいしいよ。新宿マインズタワー裏
志賀信夫