ダニエラ、正朔

オーストリアの舞踏家。日本、駱駝艦で修業してキャリア6年。オーストリアに帰り舞踏グループを立ち上げ、秋に初公演予定という
下手手前にツンのみでしゃがみ動きだすポーズがいい。美的意識がはっきりしている。そして捩れた姿勢のアンバランスさが魅力。だが、その景の終わりのあえぎ声はいまいち。たぶんオリジナルの前半の音楽と演劇的照明はうまく見せたが、音と踊りの関係がベタで、表情も作りすぎ。ただ捩れた身体の魅力に期待しよう。
正朔は前のタイニイアリス同様、観客席前に後ろ向きで座り、立ち上がっても後ろ向きで長く踊る。ノイジイな音から次第に踊りが立ち上がってくる。しかし布を敷いて横になるあたりから、少々急いだ印象。モノを使うところこそ丁寧に踊らないと、「使っている」印象で、モノに使わされる。「月光」の曲でさらに甘くなった。そして激しく暴れるところ、曲がベタな印象だが、そのあとの「手」による「舞い」が生きた。そこで終わるかと思うと、スモークが雲のように漂い、新たな景が始まる。見応えがあり、展開がいい。かなり「踊る」舞台で、正朔の魅力がでた。ただ、少し削ぎ落としてもいい。
志賀信夫